Top
TRPGIndex

アドバンスト・ファイティング・ファンタジー

シナリオの記録

GM(RJ)
ラナ (盗賊系の女冒険家)
フェルデン・バールベック (弓射るまじない師)
ミスル・リファード (エルフの魔法戦士)
ノニ (物言わぬ傭兵の戦士)
グレンデル(欠席) (ドワーフで大地の女神の司祭)


――彼らが恐怖の霧に満ちたファングの街を救ってから十年の月日が流れた。(かつての冒険)
もはや彼らを覚えているものも少ない。
彼らはそれぞれの道で日々を暮らしていた。

2006/10/29

第八話 「道化の罠」


─再会─
数ヶ月ぶりにファングの街に帰ってきた彼らは、偶然(!)門の前で合流します。 グレンデルだけいませんが、風の噂では父ドワーフを送るため別の街へ出かけたとか。 再会した一行はひさびさに、ひとすくいのシチュー亭へ向かいます。

今やシチュー亭をあずかるのは、ラナの従兄コナ。コナはここ数ヶ月でファングの街に起こった異変を語ります。
──街のはずれに一夜で塔が出現。巻貝を逆さにして突き立てたような塔の頂上には、フード姿の怪人が立っていました。
「我は謎かけ盗賊。この街は運と偶然の神の寵愛を受けた。感謝せよ」
その日を堺に、塔を根城にして謎かけ盗賊は街を混乱に陥れます。
不思議な力で人々の争いを助長し、路地裏を複雑化させ、領主館から迷宮探検競技の優勝杯を盗み出すことまでやってのけたとのことです。

その塔に近づくと、衛兵に制止されます。 彼の背後には小山ほどの巨体を持つバケモノがいました。 「次の迷宮探検競技のための怪物を放してある」ということですが、表向きの理由で、 どうやら、正規軍でも歯が立たないので放置してあるようです。 ノジェとラナはサカムビット公と面会してそのあたりを確かめます。 しかし、公はスピット・ファイアに自体の収拾を依頼するつもりらしく、面白くありません。

シチュー亭に戻ると、フェルデンは客にあやしげな水晶を売りつけて小金を稼いでいました(笑)。
ラナは、怪物のことならなんでもわかる魔法の事典モックの存在を思い出します。
二階の押入れを探してみたけどありません。どうやら盗まれたようです。
コナの話だとシチュー亭にどろぼうに入った戦士風の男がいたようです。

羽目をはずす一行に、酔っ払いがからんできます。
落ち着いたノジェの<恐怖の視線>で撃退しますが、突如ラナは首を締め付けられるような感覚がして、呼吸ができなくなります。 見渡せばこちらを冷ややかに見つめるグループがいます。 “ばらまく炎”(スピット・ファイア)という冒険者グループです(青年、巨漢の男、女性、子供)。 ラナたち一行が一線を退いた後、ファングの代表的冒険者になった連中です。
そのうちラナの締め付けはふいに緩んで、スピット・ファイアも消えていました。

そこにルックストンが登場。神殿ではあいかわらず窓際らしいですが、 溢れる熱意で、謎かけ盗賊捕縛を訴えかけます。
「ファングのNO.1冒険者は我々ですよ!」

街で見かけたスピット・ファイアを追跡すると、 彼らは謎かけ盗賊を追って塔に向かいました。フェルデンが先行します。 スピット・ファイアはふところからモックをとりだし(!)、 塔のたもとの怪物、ブラッドビースト改の弱点を聞き出します。 手早く怪物をあしらって、塔に入るスピット・ファイア。 見つかったフェルデンは、青年ブルベリーの“天恵”「伸びる剣」で攻撃されます。 スピット・ファイアがはっきりと「ラナたち一行」を敵視していることがわかります。

─螺旋の塔─
続いて塔に潜入する一行。
襲い掛かる円盤人をあしらい和解し、螺旋階段しかない中空の塔を上り詰めます。
「塔というよりは、地面を掘る大型のからくり?」ノジェの考えは後で正しいことが証明されました。

屋上にたどり着きます。 そこではポールの天辺に立つ謎かけ盗賊と、スピット・ファイアがいました。
「待ちかねたぞ。あいつは、我らかお前達のどちらか残った方とだけ相手をすると言っている」
「信じる根拠はないが、古株の方々には引退してもらって、まずは我らがファングのNo.1の英雄の座に輝く」
不毛な戦いが始まりました。
ブルベリーの伸びる剣、痩せ女プラムの「武器変化」で両手剣を封じられ序盤は苦戦するものの。 徐々に形勢は一行に傾き始めました。 フェルデンは謎の子供ザ・クロの正体を怪しみ、矢を雨のように射かけます。 しかし普通に痛がる子供を見て、ルックストンは治癒の呪文をかけてしまいます。
降伏を勧告するミスルですが、実は恐怖卿の弟だったブルベリーは、兄を倒したラナたち一行に屈するのにはためらいがあるようです。 「逆恨みもいいところだ」と例によってフェルデンがつぶやきますが、仲間におさえられます。 いろいろあって、スピット・ファイアとは剣を収めることになりました。

しびれを切らした謎かけ盗賊はラナに毛糸の束を飛ばしてぐるぐる巻きにします。
「我は大いに不満である。これでは謎かけ盗賊のふりをしてヤツにひと泡吹かせる計画が大なしだ」
「ええっ、気がつかなかったあ」
というラナの棒読みの台詞ですが、これに大いに気をよくして語りはじめます。
この男の正体は策略神ロガーンの従者のひとり「からまり仕立屋」(タングルド・テイラー)。 策略神の啓示に従い、この街に眠る混沌の源を回収しにやってきました。 ついでに、気にくわない謎かけ盗賊の評判を落とすため、彼になりすまして悪事を働きます。 事態を必要以上に複雑化させるのが「からまり仕立屋」の本質です。
この塔はいわば巨大なドリルで、地下に眠る「恐怖の魔人」を掘り起こすつもりのようです。

「助けて謎かけ盗賊〜〜」
と叫んだラナ。実はこれがあたりで、ルックストンは衣を脱ぎ捨てます。彼こそが謎かけ盗賊でした。 さすがに驚く一行です。(フェルデンは「やはりな」とか言ってましたが)
「策略の神の言葉をそのまま信じるやつがいるか。恐怖の魔人なんてもうこの街にはいない」
謎かけ盗賊によると、混沌の源とは子供ザ・クロのことで、 無垢な子供ですが、彼には人か特殊な能力を引き出す力があるとのことです。

赤っ恥をかかされた「からまり仕立屋」はやけになって攻撃をしてきます。
やわらかい布に覆われた青白い男には、打撃があまり通じませんが、 ラナ一行とスピット・ファイアの共闘で、最後には「からまり仕立屋」は燃えつきて消えました。

─結末─
冥府魔術師団に造られたザ・クロはなんらかの理由で世に出てきてしまいました。 人間であって人間でないもの。世に混乱を巻き起こすので謎かけ盗賊が連れてゆきます。

数日後、クーガ寺院から呼び出しがあり、すっかり厳格になってしまった本物のルックストンから、 サカムビット公からの褒章を賜ります。
しかし「すくわねばならぬ魂がある。昔話はしていられない」とルックストンはそそくさと退出します。 でも、ラナが振り向くとそこにはルックストンが。
「十年で変わるものもいれば変わらないものもいる。こんなルックストンつまらないだろ」
ひさしぶりの冒険に水を差したくなかったので、自分がそれらしいルックストンとして参加したと言い、 謎かけ盗賊は消えていきます。

シチュー亭に戻ると、謎かけ盗賊から一行に箱が贈られてきました。
あけると中からはサカムビット公邸から盗まれたトロフィーが‥‥。
無関係を決め込む仲間たち。 ラナが衛兵たちから逃げるところで、ひさしぶりの冒険は幕となります。
(完)

GMのおもわく
めでたい十周年記念シナリオだから手抜きはできない。
ロガーンの従者を出すことは決めていた。最新GB「凶兆の九星座」では、策略神の従者は韻をふんだ名前という設定があるので、 Tangled Taylor“絡まり仕立て屋”にした。こいつが謎かけ盗賊のふりをしてファングの街を混乱に陥れる。 あともうひとつ、PCたちは半ば引退しているだろうから、生意気な若い連中が、 ファングの代表的冒険者を名乗っているというのはどうかな。 そいつらをぎゃふんと言わせるシナリオで。

昔考えていた「タレント」のルールを追加してみよう。 ちょっと変えて、このPCたち専用のものにカスタマイズした。

FEARゲームでおなじみの「今回予告」も使ってみた。 もともと映画を撮影するというふれこみだから合うのでは。

結果
ええっ!グレンデル君欠席!?。
記念シナリオなので全員揃わないことにいきなりモチベーションが下がったけど、 考えてみれば、ラナ以外の他メンバーが活躍するチャンスかもしれない。 よーし、燃えてきたぞ。

今回予告はちらっとすぎて、プレイヤーが展開を予想するという役には立たなかったかも。

シティアドベンチャーはどうやって進展させるかプレイヤーは悩んだかもしれないけど、 まあ、それほどだれなかったと思う。ルックストンやコナから情報を与えられたので。 ラナ、ノジェの積極性に頼っている部分もあるけど。

個々の活躍の機会を増やそうと導入してみたタレント。ラナはやはりあまり変わらないものを選んだか。 ミスル君のタレントはランダム性が強くてあまり有効ではなかった。 しかし、豊富な呪文を使えばよいのに、彼は意地になってタレントを使ってたなあ(笑)。

プレイヤーたちは子供ザ・クロが謎かけ盗賊かと怪しんでいたようだ。 これは予期せぬ効果なので嬉しいかな。ただ、偽ルックストンが回復呪文を使うとき(魔法の石でごまかしているので)あやしい手ぶりをしたり、 一応伏線は張っておいたけど。

最後の戦闘で間延びしてしまった。 プレイヤーたちは通常戦闘で押したいらしく、細工の方に行かなかった。
だれたシーンではよくあることだ。 もうちょっと、仕えそうな舞台やら小物を用意しておけばよかったかな。 またもや反省。

しかし一番の反省は長すぎて次のTRPGができなかったこと。スマン。


written by RJ
last update:2007/01/06